SLKと暮らす。
phase 8 納車までの日々(1)

なんとか資金繰りのメドが立ち、残るはローン契約や車庫証明などの事務手続きだけである。しかし、3月末日までに登録完了できないような事態に陥ってしまったら、あのSLKはどこかの誰かの手に渡ってしまうのだ。もはや一つたりともミスはおかせないのである。

まずはローン契約の保証人である。ディーラーの担当者である上品なお姉さんは、やたらと“不動産をお持ちの方”をお願いします、と言っていたのだが、身の回りにはそんな人は遠く1300kmも離れた実家の父か、しのごん父くらいなものだ。この歳になって親の世話にはなりたくなかった。それでも、私にはちょっとした勝算があったのだ。

メルセデスをローンで買う時、メルセデスファイナンスジャパンを通すことになっているが、じつはMBFJ社は単なる窓口であって、実際に金を貸し付けてくれるのは、日本信販などのいわゆるローン会社なのである。ローン契約書の右上に実際の取り引き先となるローン会社が四社くらい書いてあって、丸を付けるようになっていたと思う。そして、デフォルトで日本信販になるらしいのだ。

今乗っているシトロエンAXは、日本信販のローンで買ったのだった。当然であるが一度も滞りなく、昨年春に完済していたのだ。そして、保証人には実の弟を立てることにした。彼は、しばらく前にVW Poloをローンで買ったのだが、何を思ったのか突然売り払ってしまい、ローン残債は一括返済していたのだった。その相手も日本信販である。そういう兄弟であるから、日本信販としても審査を通さない理由もなかろう、というヨミである。まあ、実際にどういう審査や調査が行われるのかは知る由もないが、とりあえずこれで審査してもらってください、と、あくまでも強気でディーラー担当者にお願いしたのだ。

実の弟は仙台に住んでいるから、ローン契約書や印鑑証明などの書類は郵送でやりとりである。どんなに急いでも翌々日にならないと戻ってこない。もし郵便事故があったら、その時点でアウトなワケだ。さっそく書類を速達で弟宛に送ることにした。

次は、車庫証明である。車庫証明がないとナンバーが取れないのだ。さっそく大家さんに連絡をしてみた。幸いなことに、即座に手配してくれるとのことだった。幸いなことというのは、ちょっとした理由がある。私のとこの大家さんの本業は服飾関係の会社をやっていて、買い付けなどのために週の単位で海外出張に行ったりしているらしいのだ。いつも電話に出るおねえちゃんでは、そんな処理までできそうもない感じの対応ぶりであると常々思っていたので、社長に直接お願いできて一安心したわけだ。さっそく大家さんの事務所の住所をディーラー担当者に伝え、車庫証明を取る準備をしてもらった。

夕方、携帯に電話が入った。ディーラーの上品なお姉さんからだった。

「審査が通りましたよ」

思惑通りである。ニヤリ。


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